<国際高校生選抜書展>書の甲子園 県内から4人入選 /秋田

 水野靖弘さんが「書の甲子園」の愛称で知られる「第24回国際高校生選抜書展」に入選した。喜びの声や書への思い、今後の目標を尋ねた。
 書を始めたのは小学4年生の時。慕っていた国語の先生がとても字がうまくて、それが書を継続する原動力になった。横手市や県の大会で金や銀などの優秀な賞を受賞してきた。「その都度、壁はあるけれど、それを乗り越えて、受賞した時の喜びがたまらない」と言う。
 書の甲子園には、草書を崩した「狂草」という書体で、王鐸の七言絶句を出品した。かなとは違う、もっと動きの激しい作品に挑戦したいと思ったからだ。墨の潤渇や太さ・細さ、軽重、構成など、とにかく納得するまで書いて仕上げた。

 「これからも、したことのないものにどんどん挑戦して、掘り下げて、好きな書にいつか出合いたい」
 姉が書道塾に通っていて自分も行きたいと思ったのが、書を始めたきっかけだ。小学1年生の時のことだ。そもそも、書くことが好きなのだと思う。

 「いくら練習しても練習しきれない。終わりがないのが書の世界だと思う」と言う。「これで完成、ということはないんです」

 書の甲子園に出品したのは隷書「金農隷書文語軸」。隷書は、書を始めた時からのあこがれの書体だ。書の甲子園初出品にして、初挑戦に。夏休み後半から打ち込み、登校前の早朝にも練習し書き上げた。満足がいく作品ができたと思っている。

 「とてもうれしかった」と入選を喜ぶ。大好きな書をこれからも続けていくつもりだ。

 「多彩な書体に挑戦」 
 書の甲子園には草書「書譜」を出品した。初出品での入選に「毎週練習してきた努力が実ってうれしい」と笑顔で話す。

 書道塾に通って今年で7年目。もともと書くのが苦手で、字がうまくなりたいと始めた。今では、知らない書体を書くのが楽しい。

 中学生までは楷書と行書に取り組んできた。行書のはらいやかすれ、それに、にじませるのが好きだ。行書をさらに崩した草書は、自分の中では未知の領域。高校生になってからの挑戦になる。何度も書いた。その結果、「満足のいく作品が出せた」と言う。

 書はこれからも続けていく。「いろいろな書体に挑戦して、いろいろな作品を作りたい」と意欲をみせた。

 ◇3年連続に笑み 

 3年連続入選の快挙を達成し「本当にうれしい」と満面の笑みを浮かべる。入選作は、石碑に刻まれた「賀蘭汗造像記(がらんかんぞうぞうき)」を臨書した。書道部顧問の教諭も「努力家。高い技術力は後輩の目標となっている。将来が楽しみ」とたたえる。

 中学時代に目にした旧能代北高の書道パフォーマンスに魅せられて、迷わず書道部の門をたたいた。書の甲子園で連続入選を目標とする一方で、部長として26人の部員をけん引してきた。部員が団結して念願の書道パフォーマンスを披露できたのが印象深い。「忙しかったが達成感があり、楽しかった」

 経験を生かし、書道の高校教員になりたいと思っている。まずは大学進学が控えている。